今回は、覚えるのに苦労した所得控除の中でも
- 生命保険料控除とは
- 生命保険料控除額
上記2点についてまとめつつ、不明点を調べていきます。
「生命保険料控除ってどんなもの?」「生命保険料控除に該当する人ってどんな人?」といった方に読んでいただけると嬉しいです!
控除の中でも生命保険料控除についてまとめていきます!
一緒に確認していきましょう。
目次
生命保険料控除とは
生命保険料控除は
生命保険料控除:納税者が生命保険料・介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に、一定金額を合計所得より差し引くことが出来る控除のこと
となります。
生命保険料控除に該当する保険は下記3種類です。
- 生命保険
- 介護医療保険
- 個人年金保険
また、①生命保険②介護医療保険では
- 保険期間が5年未満の契約で、貯蓄保険や貯蓄共済は含まれない
- 外国生命保険会社などもしくは外国損害保険会社などと国外において締結したもの、信用保険契約・傷害保険契約・財形貯蓄契約・財形住宅貯蓄契約・財形年金貯蓄契約なども含まれない
という条件が加えられています。
貯蓄保険は含まれないということですが、これは個人年金保険が貯蓄保険なので重ならないようにしているのかもしれませんね。。
それぞれどんなものが該当するか見てみましょう!
生命保険控除に該当する生命保険は締結した時期により
平成24年1月1日以後⇒新生命保険料
平成23年12月31日以前⇒旧生命保険料
と呼び方が変わります。
新生命保険料・旧生命保険料ともに保険金などの受取人は、払い込みをする人もしくは配偶者・そのほかの親族とするものとされています。
それぞれの保険契約の例は下記の通りです!
新生命保険料と旧生命保険料で異なる部分に下線を引いてみました。
〇平成24年1月1日以後に締結した保険契約(新生命保険料)
- 生命保険会社又は外国生命保険会社等と締結した生存又は死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約
- 旧簡易生命保険契約のうち生存又は死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
- 農業協同組合と締結した生命共済契約その他これに類する共済に係る契約のうち生存又は死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
- 旧生命保険料の④に該当する記述なし
- 確定給付企業年金に係る規約又は適格退職年金契約
〇平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧生命保険料)
- 生命保険会社又は外国生命保険会社等と締結した生存又は死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
- 旧簡易生命保険契約
- 農業協同組合と締結した生命共済に係る契約その他これに類する共済に係る契約
- 生命保険会社、外国生命保険会社等、損害保険会社又は外国損害保険会社等と締結した身体の疾病又は身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金等が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由に基因して保険金等が支払われるもの
- 確定給付企業年金に係る規約又は適格退職年金契約
新生命保険料は生存または死亡に起因して一定額の保険金等が支払われる保険契約というように限定されていますね!
旧生命保険料の④ではその文言と異なる条件で支払われるものが定義されているので、新生命保険料では削除されているのかもしれませんね。
介護医療保険に該当する医療保険は、平成24年1月1日以後に締結したもののみが該当します!
新設された項目となるようです。
この介護医療保険の契約に基づく保険金受取などの受取人は、 払い込みをする人もしくは配偶者・そのほかの親族とするものとされています。
保険契約の例はこちらになります。
- 生命保険会社若しくは外国生命保険会社等又は損害保険会社若しくは外国損害保険会社等と締結した疾病又は身体の傷害等により保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由に基因して保険金等が支払われる保険契約
- 疾病又は身体の障害等により保険金等が支払われる旧簡易生命保険契約又は生命共済契約等のうち一定のもので、医療費等支払事由により保険金等が支払われるもの
介護保険の保険契約①に記載されているものは、旧生命保険料の④と全く同じ文章ですね!
平成24年1月1日以後には新生命保険料と介護医療保険の2つに分かれたのでしょうか。
入院・通院にともなう給付部分に係る保険料がこの介護医療保険に分類されているようですね!
個人年金保険は新個人年金保険料・旧個人年金保険料ともに条件は同じとなっているようです。
下記の契約のうち、年金(※退職年金を除く)を給付する定めのあるものが該当するようです!
- 年金の受取人は、保険料若しくは掛金の払込みをする者、又はその配偶者となっている契約であること。
- 保険料等は、年金の支払を受けるまでに10年以上の期間にわたって、定期に支払う契約であること。
- 年金の支払は、年金受取人の年齢が原則として満60歳になってから支払うとされている10年以上の定期又は終身の年金であること。
契約年数などの定義が詳しく書かれていますね。。
条件について、「合計所得金額の制限があるのか?」「他にはどんなところを確認すべきか」という観点でまとめてみます。
生命保険料控除の条件:
納税者本人が生命保険料・介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合
〇合計所得金額の制限:なし
〇その他条件
締結時期により控除額が異なるので注意!
・平成24年1月1日以後締結⇒新生命保険料・新個人年金保険料・介護医療保険料(新設)
・平成23年12月31日以前締結⇒旧生命保険料・旧個人年金保険料
この控除は合計所得金額の制限が特に設けられていません。
締結時期によって、条件や控除額の計算方法が異なるので注意しましょう!
生命保険料控除額
生命保険料控除額は新契約(平成24年1月1日以後に締結)もしくは旧契約(平成23年12月31日以前に締結)かにより異なります。
それぞれ確認してみましょう!
新契約の控除額
新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料の控除額は、それぞれ下記の表の計算式により計算した金額となります。
表1 新契約の控除額計算表
年間の支払保険料など | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料の全額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
いくら支払ったかにより、異なる計算式で控除額を計算するようですね。
具体的にどう計算するか解いてみましょう!
新生命保険料を年間で30,000円支払った場合の生命保険料控除額を求めましょう。
表1で30,000円の該当する部分を確認してみましょう!
『20,000円超40,000円以下: 支払保険料等×1/2+10,000円 』であることが分かりますね。
この式に30,000円を代入して計算してみます。
30,000円×1/2+10,000円=25,000円
この結果より、25,000円が生命保険料控除額となることが分かります。
計算は難しくはないですね。
FP3級では最大で40,000円が控除額となることを覚えておけばOKでした!
旧契約の控除額
旧生命保険料・旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ下記の表の計算式により計算した金額となります。
表2 旧契約の控除額計算表
年間の支払保険料など | 控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料の全額 |
25,000円超50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
いくら支払ったかにより、異なる計算式で控除額を計算するようですね。
こちらも同じ額でいくら控除されるか考えてみましょう。
旧生命保険料を年間で30,000円支払った場合の生命保険料控除額を求めましょう。
表2で30,000円の該当する部分を確認してみましょう!
『25,000円超50,000円以下: 支払保険料等×1/2+12,500円 』であることが分かりますね。
この式に30,000円を代入して計算してみます。
30,000円×1/2+12,500円=27,500円
この結果より、27,500円が生命保険料控除額となることが分かります。
同じ金額を支払った場合だと旧生命保険料のほうが、生命保険料控除額が高くなるようですね!
最高控除額の合計を足し合わせると
新制度⇒ 新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料 (各4万)⇒12万円
旧制度⇒旧生命保険料・旧個人年金保険料(各5万)⇒10万円
となるため、新制度のほうが上限で控除を受けると合計での控除額が高くなります。
項目が増えたので、少し控除額が増えてお得な感じがしますね。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
私は、FP3級を勉強している際には生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の控除額の上限がそれぞれ4万円であるということしか知りませんでした。。
とても勉強になりますね。。
参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm