FP3級の資格勉強の際、資金計画を立てる際の6つの係数の名前を覚えます。
実際の試験では、与えられた係数を金額にかけて求めたい金額を導出するという場面がありました。
私的には、ブラックボックスのように係数だけをかけるというのは性に合わず、各種係数の出し方を調べてみました。
この記事は
- FP3級の勉強に必要な係数の導出方法が知りたい!
- 係数の意味を理解してから、問題に取り組みたい!
上記のような方に、見ていただけると嬉しいです。
この記事の内容を朗読しています。
目次
年金現価係数の導出方法についてまとめます。
導出にあたり、年金現価係数がどんなものを求めるための係数かというと
将来の一定期間にわたって一定額を受け取るために必要な元本を計算する際に用いる係数
一定金額を一定期間で取り崩すという流れは、資本回収係数と同じですね。
【FP3級】独学で資格取得! 理系主婦のノート:資本回収係数これまでに求めてきた係数と異なる点としては
最終的に求めたい物は一定額を受け取るために必要な元本である
という点になります。
今回も、逆数にすれば出てくる予感がしますね。
それでは導出したことにならないので式を組み立てていきましょう。
まず、元本を“X”、利率を“r”、一定期間で受け取る一定額(1年分)を“t”とおきます。
その年に入れていた金額に(1+r)がかけられ、その値から1年ごとにtが引かれるという式を作ります。
分かりやすく年ごとに記載していくと、
1年後・・・X(1+r)-t
2年後・・・X(1+r)2-t(1+r)-t
3年後・・・X(1+r)3-t(1+r)2-t(1+r)-t
同じような考え方で
n年後・・・X(1+r)n-t(1+r)n-1-t(1+r)n-…-t・・・(1)
将来の一定期間にわたって、一定額を受け取ることを考えているため
n年後に預け入れていたものすべて手元に戻ったと仮定し、(1)式=0とおきます。
X(1+r)n-t(1+r)n-1-t(1+r)n-…-t=0
最終的に求めたいのは元本“X”なので、Xを求める式に変形します。
まず、”t”のかけられている部分を、いったん右辺へ動かします
X(1+r)n=t(1+r)n-1+t(1+r)n+…+t
次に、”t”でくくります。
X(1+r)n=t{(1+r)n-1+(1+r)n+…+1} ・・・(2)
ここで(1+r)n-1+(1+r)n+…+1の箇所を見ると、今回も等比数列の和の公式を使えることが分かります。
初項が“a”、公比“r”、項数“n”の等比数列の和を“Sn“とおくと
Sn=a+ar+ar2+・・・+arn-2+arn-1
Sn=a(1-rn)/(1-r)
これを(2)式に適用すると 初項は“1”、公比は“1+r”、項数は“n”となり、
X(1+r)n=t{(1+r)n-1+(1+r)n+…+1}=t{1-(1+r)n}/{1-(1+r)}
分母 {1-(1+r)} を計算すると
X(1+r)n=t{1-(1+r)n}/(-r)
分母 (-r) のマイナスを分子にかけて見やすく式変形すると
X(1+r)n=t{(1+r)n-1}/r ・・・(3)
今回求めたいのは元本”X”なので、”X”を求める式に(3)式を変形します。
X=t×{(1+r)n-1}/r(1+r)n
年金現価係数は、一定期間にわたって一定額を受け取るために
必要な元本を毎年受け取る一定額”t)”にかけて、求める係数なので
年金現価係数:{(1+r)n-1}/r(1+r)n
となることが分かりました!
具体的な値を入れて確認してみます。
表1 期間が5年の場合の利率1% / 2%の場合の年金終価係数
利率1% | 利率2% | |
年金現価係数 | 4.8534 | 4.7135 |
- 利率1%で5年運用した場合の係数が正しいか?
- r(利率) = 0.01、n(年数) = 5となるので、{(1+0.01)5-1}/0.01(1+0.01)5=4.85343…なので正しい。
- 利率2%で5年運用した場合についても係数が正しいか?
- r(利率) = 0.02、n(年数) = 5 となるので、{(1+0.02)5-1}/0.02(1+0.02)5=4.71345…なので正しい。